LITTLE PUMPKIN インタビュー

【Interview Vol.7】小学校受験後、不安定になった娘のために学び始めた「子育て学」。子どもたち、自身の前向きな変化を感じ講師の資格を取得。現在は伝える立場にー川合良子さんー

株式会社リクルートに約10年勤務し、新卒・中途採用、スクール情報誌の営業企画、社内のワーキングマザー支援などに携わってきた川合良子さん(以下、良子さん)。現在は退職し、11歳の娘さん、8歳の息子さんを育てながら、NPO法人子育て学協会所属の「チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)プロフェッショナル」として、湘南エリアを中心に子育て学講座、子育て相談活動などを行っています。子育て学との出会いは、小学校受験後に娘さんが不安定な状態になり、解決策はないか探したことがきっかけだと言います。そこで得たアドバイスを実行したところ、みるみるうちに娘さんの状態は落ち着いたそうです。効果を実感した良子さんはその後本格的に勉強し、コンサルタントの資格を取得しました。「子育て学」の内容、また子育て学を通してご自身、お子さんたちに起きたポジティブな変化について教えていただきます。

<Profile>
川合 良子(かわい りょうこ)さん
夫、娘(11歳)、息子(8歳)と暮らす2児のママ。チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)として、湘南エリアを中心に活動中。趣味はお料理教室に通うこと。収納について考えること。
最近、流行りのズパゲッティでバッグが編めるようになり、新しい趣味になるかも!と期待を膨らませているところです。それにしても、家族ってほんとうに奥が深い!日々トライアンドエラーを繰り返しながら、家族で成長中です。

リクルートに約10年勤務。

育休・在宅勤務を経て退職

—ご経歴を教えてください。

出身は愛媛県で、大学卒業後に株式会社リクルートに新卒入社して約10年勤務しました。その間に結婚、長女を妊娠、出産して育休取得後に職場復帰したんですが、ちょうどリクルートが事業所内保育園を作るなど、「ダイバーシティ」に取り組み始めたタイミングで。復職後は「ダイバーシティーグループ」に所属し、社内のワーキングマザーの両立支援の仕事をしていました。

しかしほとんど会社には行かず、ダイバーシティの一環として認められた「在宅勤務」第一号となり基本は自宅で仕事し、月に一度だけ会議のために出社するという働き方をしていました。

—ワーキングマザーの両立支援の仕事とは?

社内向けのイントラネットの掲示板があったのですが、そこに載せるワーキングマザー向けのお役立ちコンテンツを企画したり、運営管理したりする仕事です。当時は今ほどワーキングマザーが多くなかったので、ワーキングマザー同士で情報を共有したり、アドバイスしあったりすることが難しかったんですよね。会社も試行錯誤していた時期かもしれません。私はその中で在宅でもできる仕事を担当させてもらい、新しい働き方にチャレンジしていたのですが、最終的には退職を選びました。

—それはどうしてですか?

二人目だとまた違ったのかもしれませんが、一人目だったこともありどうしても娘と離れたくないという気持ちが強くて、あえて保育園に入れていなかったんですね。日中は育休中と同じように娘と遊び、夜寝かしつけてから仕事をしていたんですが、自分の中で「働く」というとどうしても育休に入る前のイメージになってしまって。それに成果にもこだわりがあったので、夜だけでは足りず、一度寝てまた深夜や早朝に起きて仕事して……という生活サイクルを続け、体力の限界を感じていました。

どこかで意識を変えなくてはいけなかったんでしょうけれど、“二足のわらじ”が向いていなかったのかもしれませんね。体力的な問題がきっかけにはなりましたが、仕事と子育てどちらも中途半端になってしまうことが嫌で、会社を辞める決断をしました。

娘のために学び始めた子育て学

—「子育て学」との出会い、またその内容について教えてください。

娘、息子とも小学校受験をしたんですが、娘の方が受験後に突然不安定になってしまったんです。受験準備期間中は楽しそうにしていたのに、終わったらなんだか様子がおかしくて。娘はシルバニアファミリーが大好きでいつも楽しく遊んでいたんですが、以前だったら大して気にも留めないような「家具がちょっと崩れた」とかそんなことに過剰反応し、ひっくり返って暴れるようになって。

幼稚園の先生に聞いても「幼稚園ではそういうことはないですね」と言われるので悩んでいたときに、リクルート時代に仕事でお世話になった子育て学協会会長の山本直美先生を思い出し、相談に行きました。

—山本直美先生は、どういう方なんでしょうか?

直美先生は元々、幼稚園の先生をされていました。しかし幼稚園教諭として仕事を始めたばかりの頃、たとえば「子どもたちにお絵かきをさせましょう」という教えに、「お絵かきが子どもたちの成長にどんな意味を持つのか分からない」と悩んでしまったそうです。それなら自分で検証してみようとお教室を開き、そこで20年ほどお子さんの成長を見守ってこられました。

20年も経つと、初期の頃に通われていたお子さんは成人しているので、「乳幼児期にこういう問題を抱えていたお子さんは、思春期になるとこういう問題を抱えやすい」などのような知見が溜まってきます。そうして溜まった知見を体系的にまとめ、「子育て学」という形で皆さまにお伝えするために子育て学協会を設立されました。

先生は、リクルートの事業所内保育園を一緒に作ってくださったり、また私が運営していたワーキングマザー向けの掲示板にコラムを寄せてくださったりもしていたので、私とはその時からのご縁なのですが、退職後は疎遠になっていて。しかし娘のことを相談したいと改めて連絡を取り、先生にいただいたアドバイスを実行していったところ、娘がすーっと落ち着いていったんです。私自身の前向きな変化も感じたので、これは本格的に学びたいと思い、養成講座を受講し講師の資格を得ました。

—当時を振り返り、娘さんが不安定になった理由についてどうお考えですか?

小学校受験をするとなると、一般的には試験本番に向けてプリント問題などいわゆるお勉強をしたり、受け答えがきちんとできるように練習をしたりするんですが、一気に詰め込み過ぎてしまうと、それがストレスになり不安定になってしまうお子さんもいます。でも娘はどれも楽しくこなしていたので、受験がストレスになったわけではないように思います。どちらかというと、受験が終わってしまったことが原因だったかなと。

受験準備のために週に2回、片道40分ほどかけてお教室に通っていたのですが、教室と自宅までの往復、教室にいる間、終わったあとと、その頃私の視線はずっと娘に注がれていたんですね。小さな弟がいますから、普段ママを独り占めすることはなかなかなく嬉しかったんでしょうね。教室が終わったら一緒にお茶したり、ご褒美にドラッグストアでヘアゴム買ってもらったり。ママと楽しい時間を過ごしていたのに、受験が終わったら突然それがなくなってしまい、なんだかおかしいと思ったのかもしれません。

教室通いを続けていた頃は、まだ幼稚園に入園したばかりの息子を延長保育に預けていたので、受験が終わったら「今度は息子をフォローしなきゃ!」と私の視線が180度息子に行ってしまったんですね。娘なりに、「ママ、私のこと見て!」と主張していたんじゃないかと思います。

—なるほど。直美先生のアドバイスはどういうものだったんですか?

もっと娘さんとの対話の時間を増やした方がいいわよ、と。たとえ5分でもいいから、二人きりで話す時間を作った方がいいと言われました。対話しましょうと言うと、「今日幼稚園どうだった?」「お友だちとケンカしなかった?」とうっかり尋問してしまいそうになりますが、そうじゃなくて、ママが自分の気持ちを話す時間を子どもに作った方がいい、というのが直美先生の教えです。

たとえば、「ママ今日一日こんなことして楽しかった!」「すごくいいことあったから、ケーキ買ってきたんだよ!」とか。あとは、「今日ATMに並んでいたらおじさんに横入りされて嫌だった!」でも(笑)、なんでもいいんです。大事なのは、ママが何を考えているかをしっかり子どもに伝えること。それがないと、「ママ、私のこと気にしていないのかな?」と子どもが不安になってしまうからです。

—娘さんへの効果はあったとおっしゃっていましたが、子育て学を学んでからご自身の変化もありましたか?

ええ、一番は子育てのことで落ち込まなくなったことですね。以前はネットで子育てに関する記事を読んではその度に「私できていない、ダメだ……」と落ち込み、でも3日くらいするとすぐ忘れるというのを繰り返していたんですけれど、そういう浮き沈みがなくなりました。今もいろいろな記事を読みますけれど、「これは子育て学のここの部分の話ね」と自分の中で整理できるようになったので、「なるほど」とは思いますけれど、それによって落ち込むことはなくなりましたね。

あとは男の子ならではの理解不能な行動を取る息子に、しっかり対処できるようになったことも大きいです。私は三姉妹の長女なので、女の子の生活はイメージできます。もちろん娘に対しても手を焼くことはありますが、同じ女性ですし妹たちを見てきたのである程度は理解できるんですね。でも男の子はやることが全然違う。「もう意味が分からない!」と思うようなことをたくさんしてくれます(笑)。

たとえば先日、息子はパジャマのタグを切るためにハサミを持っていたんですが、その時ちょうど足が痒かったらしく、布地があると邪魔だからと言ってパジャマにハサミで穴を開けてしまいました。さすがにこれには本人も反省していましたが(笑)、自分の興味関心でいろいろなことをしてしまうんですよね。

子どもが本能的にやっていることは、子どもの「◯◯が好き」という気持ちや、アイデンティティにつながることなので、大切にしなくてはいけないんですが、以前の私だったらその意味が理解できず、いろんな場面で「どうしてそんなことするの?」「どうしてそれができないの?」と彼の行動を否定しちゃっていたかもしれません。でも子育て学を学んだ今は、「それは面白いよね。興味があったんだね」とか「集中していたんだね」と温かく見守れるようになりました。

—良子さんの講座は、誰でも受講できるのでしょうか?

はい、どなたでも受けていただけます。3人以上集まっていただければ出張で講座を開くこともできますし、定期的に近くの助産院(みやうち赤ちゃんおっぱい相談室)でもお話しているので、そこにいらっしゃれるママでしたらそちらで聞いていただけます。

基本はワンサイクル6回で子育てに必要な基本的な考え方が学べる講座ですが、小学校や幼稚園などからお声がかかり、全6回の講座の中から部分的にテーマを切り取って1時間半〜2時間ほどの単発講座を開くこともあります。あとは、講師は他の方になってしまうんですが、東京・青山の子育て学協会オフィスでも定期的に子育て学講座が開講されていますので、興味がある方はぜひウェブサイトをチェックしてみてください。

みやうち赤ちゃんおっぱい相談室での講座の様子。 「初めていらっしゃったときには、不安な表情をしていらっしゃったママたちが6回修了するころには、 ちょっと前向きに子育てに取り組んでみようかなと思えるように、という思いで毎回お話しています。」(良子さん)

叱り方は、男の子・女の子で変える

—「子どもへの叱り方/注意の仕方」は多くのママが悩むところだと思います。この記事を読んでいるママ向けに、すぐに始められるワンポイントアドバイスがあれば教えてください!

褒め方も叱り方も男女別にコツがあるんですね。まず女の子は、キツく叱らないというのがポイントです。女の子はいろんなことを分かってやっていることが多いので、淡々と「分かってやってるよね」と伝えるので十分です。そして「嫌な言い方をしているな」と思ったら、子どもが言っていることを、内容、イントネーションなどをそのままにオウム返しして顔を見ます。つい「なんでそんな言い方するの! お友だちに嫌われるわよ!」と言ってしまいそうになりますがキツく言えば言うほど強化され、どんどんキツい言い方をするようになってしまいます。大事なのは、子どもに「その言い方で大丈夫?」と気づかせることです。

男の子の場合は、人前で叱らないこと。男の子はプライドが高いので人前で叱ってしまうと、「こんな恥ずかしい思いをさせる人の言うことなんて聞かない!」となり、親の言うことを聞かなくなってしまうんですね。何か注意したいときは、「ちょっといいですか?」と声をかけ、落ち着いて話せる場所で、しっかり目を見て伝えるのがポイントです。

日常生活では親も「素」の状態ですし、常に落ち着いて実践できるわけではないと思いますが、少しでも余裕があるときに良かったら試してみてください!

一つのことから想像を広げていけるように

—良子さんが大切にしている、「ポジティブ子育てマイルール」はありますか?

「その子らしさ」を大切にすることでしょうか。最近うちでは、子どもたちから「将来何になろうかな?」という話がよく出ます。今のところ息子の夢は消防士、娘はバレリーナなんですね。それを聞き、「消防士? そんな危険な仕事やめて!」とか、「バレリーナになれる人なんて一握りなんだから無理無理!」と言いたくなるところですが、「それはいいね!」と受け止め、そこから話を広げることを意識しています。

たとえば消防の仕事は、必ずしもホースを持って消火活動に当たる人だけではありません。水が使えない現場で化学薬品を使ったり、人間が入れない危険な場所でロボットを使ったりして消火活動をすることもあります。また、スキューバダイビングが必須の「潜水」の部隊もあります。いろんな話をする中で、息子が「消防」というキーワードからどんどん想像を広げていけたらいいなと思っています。

バレリーナもそうですよね。自分自身がバレリーナとして活躍する人もいれば、衣装を作る人、舞台装置を考える人、舞踊譜といって踊りの楽譜みたいなものを作る職業の人もいます。特に舞踊譜は学べる場が限られているので、貴重な存在なんだそうです。どんなことでもよいので、自分が興味を持ったことを探求していって欲しいと思っています。

広がりのある話をしていると子どもたちからは、「じゃあ今何をがんばって勉強したらいいのかな?」と質問が出てきます。息子には、「まずは算数と理科かなぁ」と伝えたところです。

ご家族で消防署見学をしたときの一枚。 「息子が、消防の仕事は放水するだけではない、と気づけたのは、このときの消防士さんのお話のおかげです。 子どもが興味を持ったことは、タイミングを逃さず、なるべく本物に触れる体験をさせる、ということも大切にしていることの一つです。」(良子さん)

—お母さんがそういう風にお子さんたちを導いていかれるのは素敵ですね。

こういう考え方になったのは、自分への反省からでもあるんです。私は自分自身があまり、何が好きだとか、何が楽しいからこれをしたいとかを意識しないまま大人になってしまったと思っているんですよね。私が大学受験をした頃は、「偏差値」がすごく大切にされていました。そして「勉強といえば記憶です!」みたいなね(笑)。もしかしたら記憶が得意だったから、多少勉強ができたのかもしれません。でも、京都大学に入りましたが、入ったらすごく困ってしまって。何にも縛られない大学なので、いきなり敷かれたレールがなくなり、「さあ好きにしてもいいよ!」と言われても……と。

結局、大学4年間は何しましたか? と聞かれたら、体育会のソフトテニス部に入り部活動をしていました、という学生生活を送りそのまま社会人になってしまったので、子どもたちには「何が好きか」「何を学びたいか」「どんな人になりたいか」を感じたり考えたりしながら大人になっていって欲しいと思っているんです。特に今の時代は答えがない世の中なので、「私はこう思う」「こうしたい」という軸がないと辛いですよね。だからこそ、「その子らしさ」「やりたいこと」を丁寧に応援していきたいなと。

—少し話は戻りますが、さきほど「子育て学を学んでから落ち込むことはなくなった」とおっしゃっていましたが、悩むこともありませんか?

うーん、もちろん「うまくいかないな」とか「どうしたらいいのかな」と日々悩むことはありますよ。というか悩みは尽きないですよね。でも、「どうして私ってこうなのかしら?」と自己嫌悪に陥ることはほとんどなくなりました。それは子育て学のなかで学んだ「自律ルール」を意識するようになったからかもしれないですね。

—「自律ルール」とはどういうものですか?

自分がいい状態でいるためのルールです。私の場合は、家が片付いていること、それから自分のために美味しいお茶やコーヒーを淹れること。これができている日はとてもいい気分で一日を過ごすことができます。逆にできていないときは、イライラして子どもたちや主人に八つ当たりしてしまうことがあるんですよね。

今の自分の状態は? と意識しながら生活していると、たとえイライラすることがあっても、「あ、今日はあれができてないからだ」とちゃんと理由が分かるので、「どうして私はいつもこうなのかしら」と自分を責めなくて済みますし、子どもたちにも素直に謝れたりします。

それから、「ママは片付けができていないときにイライラしちゃうんだよね」「出かける間際に準備ができていなくて、どんどん時間がなくなってくるのが苦手なんだよね」と家族に伝えておけば、私が不機嫌な理由を子どもたちも理解するので、「ママがどうして怒っているのか分からない」という状態は回避できます。今では子どもたちに、「今日は出かけるときにイライラしなかったね!」と言われることもあります(笑)。

あとは「手放す」ことを覚えたことも大きいですね。家の中が片付いていないとイライラすることは分かっているので、たとえば「今このエリアは子どもたちが遊んでいるから手放そう」と決めます。すると、「どうぞどうぞ好きに遊んで!」と思えるので、すごく心穏やかに過ごせたりします。

多忙な夫。食卓にいなくても

“精神的不在”にしない

—旦那さんの子育てへの関わり方について教えてください。

うちは主人が多忙で平日はほとんど一緒に食卓を囲めないんですけれど、だからこそ、いろいろな形で子どもたちと関わりを持ってもらえるように意識しています。

たとえば何か困ったことがあったらまずはメールで状況を伝えて相談したり、場合によってはパパから子どもたちへきちんと話してねとお願いしたり。夫婦二人で子どもたちに関わっているはずなのに、平日主人がいなくて何かあったときに「なんでこうなんだ?」と言われることが一番納得いかないなと思っているので、状況をきちんと理解してもらえるように伝える努力をすること。これは、自分のなかですごく大切にしていることかもしれません。

あとは私が、「片付けしなさい!」のように毎日同じことを子どもたちに注意していると、日々の積み重ねでそのうち、「もーう、あったま来た!」と、双方の感情が爆発してしまうことがあります。そうならないよう、うまくいかなくて爆発しちゃうかも、とか、ここはちゃんと話をしなくちゃ! というときには特に主人に関わってもらうように意識しています。

—何か旦那さんに協力をお願いしてうまくいった例があれば教えてください。
たとえば、今は子どもが高学年になってきて寝る時間も少しずつ遅くなってきましたが、少し前までうちでは、子どもたちの寝る時間の目標を夜9時と決めていたので、9時前になると途端に「歯磨きしたの?」「片付けしてから2階に行きなさい!」「明日の支度は終わったの?」と騒がしくなっていたんですね。

私が言い始めるとそれこそ大騒ぎになってしまうことも多く、さらに週末なのに主人が関わってくれないと「なんで私がこんなに声かけているのに、パパは知らんぷりしているの?」と余計にヒートアップしてしまうので、あるとき、「パパは子どもたちに声かけるの上手だからお任せしていい?」とお願いしてみたんです。すると主人はとても冷静に声をかけ、子どもたちもすんなりベッドに行きました。パパが関わってくれるとなんて家庭が平和なんだ(笑)と思いましたね。

でも平日は仕事が忙しくいないことが多いので、子どもたちに対しては、「気持ちの中でパパを不在にしない」よう心がけています。食事中に、「パパの大好物、今日美味しくできたから食べさせてあげたかったなー」という話をしたり、習い事をやりたい、やめたいなど、大事なことは最後必ずパパに相談してもらうようにしたり。いつも子どもたちの心の中に“パパがいる”状態を作るようしています。

「自分の好き」を見つけてほしい!

—最後にこの記事を読んでくださっているママに、良子さんからポジティブなメッセージがあればお願いします。

子育て学講座をしているとよく、ママたちは子育てを始めると自分の「好き」という気持ちを忘れてしまっているなぁと感じます。私は、ママだって楽しい時間があったっていいし、好きなことをやっていいと思っています。それがないと子育てがただ辛いだけのものになりますし、精神的に余裕がなくなって、子どもに良い接し方ができなくなるかもしれません。

ママも自分の時間を大事にする。それが一つと、もう一つは、自分はどんな家庭を作りたいのかを一度立ち止まって考えてみてほしいな、と思っています。

子育ては、自分のアイデンティティを作り直すいい機会なんですよね。私自身、子育てを始めて大きくアイデンティティが変わりました。結婚して母親になるまでの私は、勉強や仕事で目に見える結果を出して、周りからの期待に応えることとか役割意識を大事に生きていたと思うんです。でも当時は、どうも自分の「好き」としっくりこないんだよねと思うことが結構ありました。それが子育てを始め専業主婦になり、自分でいろいろと選べる自由が生まれ、自分の「好き」に気づくことができました。今はそれがすごく心地良いんです。

もちろん毎日のことですからドタバタもしているし、大変なこともたくさんあります。今朝も息子がお弁当を忘れて大慌てで自転車に乗って追いかけましたしね(笑)。でも大好きな収納やインテリアのことを考えたり、今日はどこで材料買ってきて何を作ろうかなと考えたり、子どもたちが今日も元気で学校に行ってくれたことに喜びを感じたり。日常のなかに楽しみを見つけられている自分がいて、これはすごく大きな発見だったんです。だから皆さんにもぜひ、子育てを通じて「自分の好き」や「楽しみ」を見つけてほしいなと。

よく、「お母さんが料理上手で、毎晩食卓に3品、4品並んでいた家庭で育ったのに、私は料理が得意じゃないから3つも4つも食卓に並べられていない!」とプレッシャーに感じる方がいます。でもその代わり、インテリアを考えるのは得意だったりするわけです。今は「一汁一菜」の食卓も見直されていますし、あまり品数にはこだわらず、自分の得意な領域で良さを発揮すればいいと思います。

どういう食卓を選ぶのかは自分次第だったりするので、もし今悩んでいる方がいたら一度立ち止まって、自分は何が好きなのか、どういう風に生きて、どういう家庭にしていきたいのかを考え直してみるといいかもしれないですね。

今はSNSで簡単に他人の家族が見えてしまいます。ときにはそれがプレッシャーになることもあるかもしれません。でもそれが“平常”な家庭なんてありません。私自身そうですが、良い瞬間を写真に収めているだけですから(笑)。「私はこうしていきたい」という軸がないと周りに振り回されてしまうので、自分はこれでいいんだと自分にOKを出すこと。一度じっくりと自分の「好き」について考え、子育てを楽しんでもらえたらと思います!

「毎年、息子のお誕生日には家族でいちご狩りに行くのが恒例になっています。 こうして家族の恒例行事を作っていくのも”家族創り”ですね。」(良子さん)

(本文おわり)

川合良子さんから頂いた『ギフト』

1. 毎日5分でもいいから子どもとの「対話」の時間を設ける。その際子どもを尋問するのではなく、「今ママが何を考えているか」「今日何をしたか」など、ママの気持ちをそのまま話す

2. 「子どもの好き」を伸ばすためには、子どもが本能的にやっていることを大切に。また選択肢を複数持てるように、子どもの話から親がヒントやアイディアを出すなどして想像を広げるサポートをする

3. 自分は何が好きで、どういう風に生きて、どういう家庭にしていきたいのか。一度立ち止まって考え、それを大切にしていければ子育てはもっと楽しめるはず!

お話を聞いて

知り合いから、「素敵な方がいます!」とご紹介いただいた良子さん。どういう方なのか知りたくて、事前に良子さんが執筆や監修された記事に目を通していたのですが、どれも「な、なんて人間力が高いんだ……」と驚くものばかり。取材前、お話を聞くのが私で大丈夫だろうかと緊張していたのですが、実際に話し始めてみると、おっとりとした雰囲気と可愛らしい声、そしてこちらの緊張をほぐしてくれる優しい話し方にすっかりリラックスし、気づけば事前にお送りしていた質問以外のこともたくさん聞いてしまいました。

最後にお聞きしたのが、最近気になっている「イヤイヤ期」について。私の娘はまもなく1歳10ヶ月になりますが、体重570gで生まれた超低出生体重児なので、発育が遅く、また目に障害を抱えているのでどういう形で「イヤイヤ期」を迎えるのか分かりません。

しかし周囲では、多くのママたちがイヤイヤ期に悩んでいるように感じます。なかでもよく聞くのが、娘さんがお父さんっ子になってしまうケース。パパが「あーん」したものじゃないと食べてくれないとか、パパの隣しか座りたがらないとか。いろいろな話を聞きます。良子さんにイヤイヤ期についてお尋ねしたところ、次のようなお返事をいただきました。

「前提として、イヤイヤ期は目には見えないけれど、ママとの信頼関係がしっかりできたご褒美なんです。信頼関係があるから安心して”イヤ!“と言えるんですよね。で、どうして嫌かというと、本人の意思が出てきたこと、それなのに、ほんとうの赤ちゃんの時期にはすべて満たしてくれていたママが、本人がやりたいと思ったことに反対すること(例えば、ティッシュをシュッシュ出しちゃいけません! とか笑)それが嫌なんですよね。そうやって子どもの成長のステージがちょっと変わったというのがイヤイヤ期と呼ばれるものなんです。それを知っていると、子どもへの見方も少し変わりそうですよね。」

……! そうだったんですね………!! イヤイヤ期にそんな理由が隠れていたなんて。ちなみにパパっ子になってしまうタイプのイヤイヤ期についての対処法もお聞きしたところ、「それは旦那さんが、『パパの大事な人にそういうこと言わないでくれる?/しないでくれる?』と言えるかどうかが大事」と教えていただきました。

パパにとってママがいかに大切な人かがしっかり伝わり、「だからママの言うことも聞かなきゃダメだぞ」と子どもに理解させることがポイントのようです。これを聞いて、なるほどーーーーと首がもげそうなほど、何度もうんうん頷いてしまったものです。

川合良子さんオススメの育児書・読み聞かせしたい本や絵本

◇オススメポイント◇
読み聞かせの意味や、オススメの絵本は、絵本年齢(こどもたちそれぞれに言語発達のペースがあるので、月齢や年齢でなく、発達に応じて絵本年齢と呼んでいます)ごとに、こちらの本にすべて書かれています。直美先生の著書です。

◇オススメポイント◇
日々忙しいママに。お!食卓ってこれでいいのね!と元気をもらえる本です。

◇オススメポイント◇
このパンケーキレシピは私のベストワン!子どもたちも大好きです。自家製パンケーキミックスを作っておけば、おやつもラクラクです。

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